【ONE PIECE(ワンピース)】"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"、"Dの一族"の正体の考察(ネタバレ注意!)
『ONE PIECE(ワンピース)』をここ1週間くらい集中して読んでみて、やっぱり面白い!さすが、少年ジャンプの看板を10年以上張ってる作品はちげえや!ってなったところです(笑)
せっかく読んで面白かったので、現時点で考える『ONE PIECE(ワンピース)』のクライマックスになるであろう"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"とそれに紐づく"Dの一族"の正体について考察してみます。
そもそも考察をしたところで、作者がエンディングは決めてないというスタンスだと予想して「当たった!」「はずれた…残念(´・ω・`)」ともならないのですが、巷の情報では、すでに尾田栄一郎さんは"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"を決めているのだとか。以下がその内容抜粋です。
さくら:最後は決まってないんでしょ?
尾田:決まってますよ!今言いましょうか?
さくら:…知りたいけど、やめとくよ。でも、ワンピース(の正体)は自分の心の成長でしたみたいな事じゃないよね?
尾田:あはは、そんなオズの魔法使いみたいな事だけはしません。あれだけ頑張って冒険したんだから、キチンとご褒美はあげないと。
さくら:良かった‼ ルフィ達ご褒美がもらえるんだ‼ すっごくいい物なんだろうな
出典:『さくらももこ編集長 おめでとう デビュー30周年記念』の対談「ONE PIECEの尾田っちが私んちにやってきた!!」
このように「ご褒美」になりえて、かつ「大切なものはココ(仲間、心etc.)にあった」という道徳の教科書にはならないということが、現時点でわかっています。
非常に興味深いコメントです。
余談ですが、『鋼の錬金術師』は作者が最終話はすでに決まっていると連載当時に発言をしていましたが、その当時、僕はとても結末を考えるという知能が追い付いていなくて、「答えは決まっているらしいのにモヤモヤするな」と苦々しく思ったものです。
いい加減考える知能がついてきたので、リベンジ(?)として「マンガ考察」と呼べる枠内でやってみたいと思います。
まず、ざっくりとしたマンガ『ONE PIECE(ワンピース)』のあらすじから紹介します。
かつてこの世の全てを手に入れた男、〝海賊王〟ゴールド・ロジャー。彼が遺した「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」をめぐり、幾多の海賊達が覇権を賭けて争う「大海賊時代」が到来した。…(中略)…そんな時代の中、少年モンキー・D・ルフィが海賊王を目指して航海をする冒険活劇である…
出典:Wikipedia(一部改変)
あまりにもざっくりし過ぎたまとめですが、要は最終話の予想、物語の結末を考察したいのです。よって、質問はこのあらすじにある通り、"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"って何なのか?それを考えていきます。詳しい説明や内容は原作を読みましょう!ちょー面白いです。(以下、ネタバレ!)
さっそくですが、僕の考察の結論は、
"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"とは、「自由な世界」の実現、です。
結論だけだとなんのこっちゃ?という感じですので、ストーリーを追いながら説明をしていこうと思います。
ワンピースの歴史考察
「空白の100年」について
最初は、ワンピースの歴史問題についてからです。
物語の歴史についての発言といえば、オハラのクローバー博士の発言です。
彼の説明曰く、歴史には「空白の100年」が存在し、それはポーネグリフ(歴史の本文)に記載されている。その理由とは、世界政府の敵というものが存在していて、彼らがポーネグリフという形で歴史を紡いできた可能性があることでした。
それを語ったクローバー博士は、五老星の指示によって知りすぎたと言われ撃たれているので、非常に近い仮説と考えていいでしょう。
世界政府の敵だったのは誰なのか?
これは、おそらく"Dの一族"でしょう。元天竜人から「神の天敵」と呼ばれたり、嵐を呼ぶとまで評されるこの一族をさしおいて、敵は考えられません。これに関しては、ネット上でも異論はないです。
764話のコラソンによる告白
世界政府の敵=Dの一族、とします。そうすると、
失われた100年の真の歴史を残そうとした人々・恐らく世界政府によって滅ぼされた人々="Dの一族"となります。
世界政府とは何か?
天竜人が最高権力であり、元は800年前に各国の王20名をまとめて設立した機関であるとなっています。五老星がそのトップに位置し、実はイムという謎の人物がトップの可能性が出てきています。しかし、世界政府の成り立ちについては、まだ「真実」を語るという形で説明がされておらず、物語の一般的な常識というレベルの説明しかされていませんので、詳しい考察(イム様って誰?ということ)はしません。
考察の材料としては、世界政府が、物語の現在において世界の権力のトップであり、今世界の覇権を握っている支配者であるということです。そして、彼らは真の歴史が暴かれることを恐れています。オハラにバスターコール(全員抹殺&証拠隠滅)がされたこと然りです。
歴史が暴かれるのを恐れるのは権力者の常です。中華の歴史が一番わかりやすと思いますが、新しい王が誕生すれば前の王がいかに残忍で冷酷であったかの歴史が作られ、新しい王がその魔の手から如何に民を救ったのかが後世に語り継がれます。当然、前の王の方が「優れていた点」はなかったことにされるのです。なぜなら、新しい王が必ずしも前の王に比べて「正しい」訳ではないからです。歴史を恐れる王というのは、過去にやましいと感じる、もしくは一般的な「正義」「倫理」にもとる行いをしてきたことに他なりません。なぜなら、100%正しいと思える行いの上で王になっているならば、現在の王政の良さを未来に対して誇張することがあっても、過去の事実を否定する必要は一切ないからです。
そもそも、なぜ過去を否定しなければいけないのかを考えてみると、過去を否定しなければ現在の自分たちの覇権が危ないと考えているからなのです。仮に、過去に非道な行いをしていても、それが暴かれたところで現在の覇権にに支障をきたさないと思えば放置できるはずです。しかし、過去の抹消を執拗に行う必要があるのであれば、その過去は現在の覇権を揺るがすほどのものであり、裏を返せば、現在の覇権は過去の事実によって簡単に覆るような脆いものであることを認めているということになります。
これを、ワンピースの物語の「空白の100年」に当てはめてみると、今、世界の覇権を握っている世界政府が恐れているのは、過去に世界の覇権を握っていた者達の歴史ということになります。そこには、当然現在の世界政府の以前の姿も描かれているはずです。そして、世界政府は「空白の100年」にあった、自分たちの「正義」「倫理」にもとる行いが暴かれることを恐れていることになります。
世界政府は今覇権を握っているが、その前にあたる「空白の100年」の行いが暴かれることによって、簡単にその覇権が失われてしまう状況にあるのです。
世界政府の覇権の源泉とは何か?
それは、天竜人が世界政府を作った「創始者」の末裔だということから由来しています。少なくとも、それが理由になって天竜人の残虐非道な行い(奴隷制度、殺害etc.)が許されていることになっています。彼らの権力の源泉とは、「世界政府は創始者だから偉い。偉いから神である」というトートロジーで、一種のイワシの頭です。権力の根拠は圧倒的に弱いことがわかります。
これ、日本の天皇に当てはめて考えてみると非常にわかりやすいと思います。天竜人と同じように、天皇は日本を作った神々の子孫だと言われています。日本人はそれを信じて(?)歴史上では権力を移譲してきました。でもこの権力基盤は、もし「天皇は一般人(豪族など)の子孫で、我々(市井)と変わらないただの人間である」という事実(?)が明るみになって、それが確実になったら爆散します。これ以上続けると誰かから刺される気がするので、まあそんな感じだと雰囲気だけ掴んでください。(特に他意はないです。)
さて、ワンピースに話を戻すと、そこから導かれる「空白の100年」の歴史とは、「天竜人が世界政府を作った「創始者」の子孫だということ」という事実を覆すものであるということになります。
歴史考察まとめ
歴史的背景考察をまとめると、
「空白の100年」は現在の世界政府にとって不都合な真実がある。
不都合な真実とは、おそらく世界政府によって滅亡されされたと思われる"Dの一族"と世界政府の過去を描く歴史である。
その歴史とは、「天竜人が世界政府を作った「創始者」の子孫だということ」という世界政府の権力の源泉を覆すものである。
となります。
補足:古代兵器について
ここで、ポーネグリフ(歴史の本文)に記載されている、古代兵器についても触れたいと思います。古代兵器は3つあります。プルトンとポセイドン、そしてウラヌスです。内容は以下です。
・プルトン…戦艦→設計図のみ受け継がれていた
・ポセイドン…しらほし姫(人魚姫)自身
・ウラヌス…不明
古代兵器として再三紹介されているのですが、実は古代兵器は「兵器」ではないのではないかと思います。というのは、「船に良い悪いではない」とフランキーのお師匠であるトムが言っていたこと、そのものずばりです。
356話、プルトンの設計図を受け継いできたトムさん
もし古代兵器の設計図があり、その設計図を古代兵器として代々受け継ぐ意味は、いつかどこかで「兵器」として使うためです。では、プルトンの設計書を代々受け継いでいたトムは、そしてその祖先たちは「兵器」として使われることが決まっている(わかっている)ものの設計図を代々引き継いで来たのでしょうか?「古代兵器」とは、使い方によって「兵器」にもなれば、「世界をより良くする素晴らしいもの」でなりうるということです。
実際に、「古代兵器:ポセイドン」であると判明したしらほし姫の能力は、海王類と対話ができるというものでした。この力を兵器として使うこともできますが、同時に海王類と共存ができるようになる能力でもあります。要は使い方次第です。
Dの一族の正体について
さて、物語の核心のもう一つ、Dの謎について次は考えたいと思います。
Dの意思とは何か?
ここまでの「空白の100年」の考察をふまえると、Dの意思とは「自由な世界」の創造なのではないかと考えます。なぜならば、世界政府の作った現在のアンチテーゼが「自由な世界」であるからです。
現在の世界政府の世界観とは、天竜人を頂点とした厳格なピラミッド構造です。ゴア王国が世界の縮図のようだと言われていましたが、一番下に奴隷がいて常に虐げられる立場にいます。また、弱者として生まれてしまった者は、強者に虐げられることが当たり前となっています。逆に、権力者や強者は自らがルールとなって、彼らのみが自由を獲得できます。
Dの一族が世界政府の敵であり、かつ彼らの権力を覆す可能性がある存在だとすれば、彼らの紡いできた歴史と彼らの意思とは、世界政府と逆の発想、つまり、誰もが平等で誰もが自由である世界の創造だと考えます。これはまさに、現在の世界政府の世界観に対するアンチテーゼ、そして彼らの天敵となりうる思想です。
思い返すと、ルフィーが海賊王とは何かということについて答えるシーンがありますが、それは世界で最も自由な人間であって、権力や支配をする人間ではないと言っています。
506話
Dの意思の本流はここにあるのではないでしょうか。すべての種族、場所に住む人々が差別なく制限されることなく自由であること、それが理想のだと考えます。この「自由」という概念は難しいですが、麦わら海賊団が店のものを海賊だからといって万引きして食べるということを安易に行わないことから、「公共性のある自由」だと思います(難しいこと言ってみたけど、要はなるべく人様に迷惑はかけない自由です)。
戦いの後に必ず宴のシーンがありますが、それを誰とでもできる世界がワンピースの理想と呼べるのではないでしょうか。
Dの意思=自由な世界の創造と考える根拠としてあげておきたいのが、Dの一族が人間族だけに限らない描写があったことです。巨人族にもDの名前がありました。つまり、Dの一族においては種族における不平等(不自由)の概念はなかったという証拠になるのではないかということです。現時点では明らかになっていませんが、実は全種族にDの名前を受け継ぐ者たちがいるように思います。そして、すでに登場している人物の何人かはDの一族の末裔である可能性が非常に高いと考えます。
Dの意思から話を進めて、Dの一族の正体について考察すると、彼らは「自由な世界」を実現しようとしていた一族であると考えます。
Dの正体の考察まとめ
歴史とDの正体についてまとめると、
「空白の100年」には誰もが平等で、自由に好きなところに行ける時代だったのではないでしょうか(もしくはそれを目指していた時代だった)。その自由な世界を構成する力は、時に世界を支配をする力にもなりえたでしょう。そこに目を付けた世界政府は、Dの一族を滅ぼしその力を手に入れようとしたのです。ところが、Dの一族はその力、「古代兵器」と呼ばれるものを隠し後世の自由な世界を実現したいと考えてくれる人々へ託したというのが「空白の100年」の歴史になると考えます。
つまり、世界政府(天竜人?)とは、もとはかつて存在した王国の国民に過ぎず、さらに、その王国を滅ぼして世界を支配しようと目論んだ人々であるということが、歴史として描かれているのではないでしょうか。
"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"について
576話
白ひげ曰く、ワンピースは実在し見つけることによって世界をひっくり返すことになると代物だそうです。物語にはそれ以上手掛かりになる発言がないので、それがどのような形を持っているのかは不明です。しかし、「世界をひっくり返すことになる」のであれば、「空白の100年」や「Dの意思」に何かしら通じるものがあるはずです。
それは、「自由な世界」です。
作者のヒントを参考にすると、ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)は何かしらの「ご褒美」になります。抽象的には「自由な世界」であるとは思いますが、具体的にどのようなものが「自由な世界」なのか疑問が残ります。
物理的に「自由な世界」を実現する方法とは、境界を失くすということです。例えば、人間一人の境界(障害)を失くすとか、すべての国境を失くして一つの帝国にするとか、さらに大きくなるならば陸地をすべて失くして海のみにしてしまう(逆もありですが)とかです。
自由を阻害する要因として、個人レベルの障害で言えば、悪魔の実の能力者はカナヅチになってしまうというのがあります。一方、地理に目を向けてみると、明らかに自由の障害になっているものがあります。例えば、レッドラインです。不自然に高く海を分ける大地、これもまた大きな障害です。
ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)が物理的なものであるならば、個人の不可能を可能にする(悪魔の実の欠点を失くす)か、大地そのものを境界のないものにしていまう(レッドラインを消失させる)ものだと考えます。残念ながら、物理的なものだとしてそれがどの次元で自由を実現する秘宝なのかは材料が足りず(もしくは力不足で)、考察できませんでした。
以上考察をまとめると、
ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)とは「自由な世界」を実現するものである。
おそらく物理的な自由を約束するものである。
しかし、それは個人レベルなのか、世界(地理)レベルになるのかはまだわからない。
となります。
最終話について
さて、世界を物理的に「自由な世界」にしてしまうお宝であるならば、実質「世界を自由にしてしまえる」お宝でもあります。しかし、それが世界一自由に生きたい人間の手に渡れば…と考えると、主人公ルフィーが考える海賊王の姿を思い出します。
最も自由な人間を「海賊王」と呼ぶ。
少し脱線をしますが、人類史で海賊が最も勃興したのは16~17世紀の間です。この時代に横行していたのは、植民地支配、三角貿易で有名な奴隷売買です。海賊たちがあふれた理由はいくつもありますが、その理由の一つとして「奴隷からの解放」であったそうです。当時起こっていた戦争など、現実の海賊勃興の原因は複雑です。ですが、ワンピースの物語の下地として取り上げるならば、「奴隷からの解放」が海賊勃興の原因であるというのが非常に興味深いと思います。
当時、植民地拡大が国家によって進められていました。それに伴い、船乗りたちは労働力である奴隷をこき使い、事業の拡大を急がせました。それはあまりに苛烈を極め、非人道的な扱いでした。奴隷たちは、そこからの脱出を望み、結果として多くの海賊が生まれたという歴史があります。奴隷となっていたのは、主にアフリカ系移民ですが、白人においても船主以下水兵は同じような扱いだったそうです。
まさに、人々は「自由」を求めて海賊になったのでした。
この話、ルフィーが言っている「海賊王」と重なりませんでしょうか。作者も当然、海賊を下地にする中でこの歴史にも触れているはずです。ルフィーが答えたように、この物語は「自由」を求めて冒険をする者たちの話なのだと考えます。
きっと、ワンピースの最終話ではルフィーは海賊王になるでしょう(ナルトも火影になったことですし!)。そして、彼はその後も常に最も自由な人であろうとするのだと思います。一方、彼によって世界もまた各々の自由を求めて生きることができるようになるのだと考えます。誰もが、広い意味で「海賊王」を目指せる世界になるというのが最終話ではないかと思います。
ちなみに、現実の通称:黒髭(エドワード・ティーチ)の死は、海賊時代の転換期とも言われています。ちょうど、黒髭の死は自由を求めた「海賊」たちの時代が終わりでもあったのです。きっと、ワンピースでも「黒ひげ」との戦いはクライマックスになるでしょう。
まとめ
"ワンピース(ひとつなぎの大秘宝)"とは、「自由な世界」の実現、という説、いかがでしたでしょうか?
今のところの予想になっていますが、同じ話の流れで進むと至上の喜びです。予想だにしないようなどんでん返しもあることでしょう。いい意味で期待が裏切られることを楽しみに今後も追いかけていきたいと思います。