Likelihood of Mine

よく学び、よく眠り、よく遊ぶ

新卒で入ると1年半~2年は電話取りさせるIT大企業を退職しました

2017年に新卒として大企業に入って2019年の3月には退職をすることになりました。僕が新卒として入った経験を残しておきます。

 

一つのサンプルとしてみてください。ベンチャーか大企業か、みたいな論点があると思いますが基本的には無駄です。いい経験をできるかできないかが一番大事です。

それで言うと、大企業に入っていい経験できなかったという話をします(笑)

結果的に面白い体験をしたことや、大企業での学びになったことはあるので、捉え方の問題ですが、無駄だったとは思っていません。

 

入社した企業ですが、

IT系の企業で、東証一部上場、社員も10,000人以上、名前を聞けば誰でも知っている日本のグループ会社です。その大企業に2017年に新卒として入社したのでした。この時点で、勘のいい方は2社くらいまで絞られていると思います。

はい、お察しの通りです。

 

 

さて、本題の新卒の扱いです。

ギャンブル部署配属の闇

システムとして、新卒は当時自分の希望の部署を書くことができますが、「希望通りには入れません」でした。

なんだ当たり前じゃん!、と思われたでしょう。

希望の部署に対して本人の適性を見て、部署の受け入れ人数を考え、できる限り本人の希望通りに配属させる、その中で残念ながら希望に沿うことができない人も出る。それに対して「希望通りには入れません」と言っているなら甘すぎる考えでしょう。

しかし、「入れません」というのはそのレベルではありませんでした。

 

なんと、同期は僕も含め、希望に全く書いていない部署に相談なく決められました。

グループ企業なので、サービスは多岐にわたります。例として、面接のときから一貫してWEBマーケティングに興味があると言って入社し、希望のそのように書いたのに財務に配属が決まった(←具体例を書いてしまうとさわりがありそうなので、この位あり得ないことが起きたという例)ということもありました。

人事が、研修、希望調査、性格判断、配属という流れを少ない人数で回しているため時間を割けないのかもしれません。とはいえ、それにしてもひどい。

 

希望調査と配属の間は、当然受け入れ人数と適性の問題があり、希望と異なる新卒が生まれてしまうのは理解できます。希望と異なる場合に、できるだけ希望に沿う調整を行う、もしくは本人に経緯を説明することぐらいはあってもいいはずです。

しかし、実際のフローは第一希望から第三希望まで書いたアンケートを提出→本人の希望を面談→最終決定という流れだけです。実質、アンケートを提出する行為しか自分の意思表示のタイミングがありません。

しかも、最終決定に対して「なぜ希望と全く違う部署になったのか?」という質問をぶつけると、新卒の前に現れる人事担当者は「上の人が決めたことなのでわからない。私たちはあくまで性格や適性のための判断材料を提出しただけ」という回答でした。

結局、誰が決めたのか、なぜ決まったのかは配属先の部署の人事担当に聞いても「私たちは本体(グループ元)から配属人数を伝えられただけだ」ということで、一切わかりませんでした。

 本当にテキトー(鼻ホジ)に決めているように思われる状況でした。

 

「希望の部署に配属されない」というのは、常識的に考えられるレベルを超えていたと今でも思います。どこの会社においても「希望の部署に配属されない」当然ありうるし、それは新卒も理解しています。社内の人事や他の企業に行った高校・大学の友人の話を聞いても同じようなことはあるというのは知っています。しかし、あまりにひどかったです。

正直、「希望をとる意味はない」配属決定で、本人がなるべく納得して配属できるようにという配慮も一切ありませんでした。配属を決めた理由が一切明かされず、希望と全く異なるところに配属されたら、納得して仕事ができるものでしょうか?(1年以内の離職者の数は知っている同期の中だと3割でした。)

ちなみに、僕は希望通りではありませんでしたが、同じ領域の部署への配属だったので配属理由こそ不明でしたが、そのまで不運な配属ではありませんでした。

これに関しては2017年の新卒では非常に話題になり、人事に直接交渉した人が少なくなかったのでした。もちろん、何も変わりませんでしたが。

 

もちろん、アンケートの希望通りに配属された同期もいます。彼らは当初思い描いていた仕事内容と違うということもありつつ、それでも現在の仕事を通過点としたキャリアを見ていて、充実しているようです。総論としては、アタリとハズレがあり、それはまさに天国と地獄のギャンブル配属でした。

このことについて人事の人間に聞くと、誰もが変えたほうがいいと思っているようですが、誰もが変えられないと考えているようでした。変えられない理由はとどのつまり、忙しいから、に尽きます。新卒でハズレを引いた人間のフォローという仕事の優先順位が低いのです。
沢山採用しているので、新規獲得数が減らなければ大きな問題にはならないのだと思います。

 

飼い殺しの新卒

ここからは個人的な話になります。部署に配属された後は、部署ごとの仕組みとなります。「希望通りに配属されなかった」としても部署によっては、別の部署への流動性が高いところがあり、実際に異動したという同期もいました。なのでグループ全体としてみれば、配属自体は非常にお粗末だけれども、1年というスパンで配属・異動を考えると融通が利くこともあると言えます。

しかし残念ながら、僕が配属された部署は全く流動性のない部署でした。希望を出す人間はいましたが、誰一人異動ができた人はいなかったのでした。そして、何よりも部署配属が終わると、担当業務への振り分けとなりますが、これが何より辛かったです。

 

配属された部署の新卒は、コールセンターか事務作業の業務のどちらかしかなく、希望は一切とらず、しかも1年半~2年は決して他の業務をやらせてもらえないという制約つきでした。僕はコールセンターでしたが、運営を行う訳ではなく派遣社員の方と同じ環境でひたすら電話をとり続ける業務でした。(この経験については別でまとめようと思います。)

IT企業に新卒で入る人間が、コールセンターで電話と取らされる、事務作業(書類をひたすら整理するようなこと)させられるなんて思って来るわけがないのです。しかも、改善や成果を残したところで異動が早まることもなく、賞与や表彰というインセンティブはありませんでした。「この会社はすごいなー(棒)」と思うしかありませんでした。

退職の理由は別のところにありますが、それも要因の一つです。むしろよく1年続けたと思います。

結局、改善や成果を残せば実力を評価してもらえる可能性があると夢を見ていたのです。しかし、やってきた仕事が転職の際には他社に評価してもらえる内容だったようで、安心しました。社内にいるときは周りから褒められるのに、実質的な評価が一切なかった(賞与、責務UPなど)ので、当時はただフラストレーションが溜まるばかりでした。


一方、1年半~2年近く新卒の担当業務をこなした後は、部署の中の花形業務に異動となるので、実力がもともとあればより自由で権限のある仕事ができるようになります。20代の2年を捨てることもいとわなければ、選択として良いかもしれません。

 

転職のときに改めて思いましたが、新卒をコールセンターか事務作業の業務に1年半~2年近く従事させるというのは非常に狡猾な判断です。

一度配属してしまえば、その新卒にはしばらく転職できるところはありません。なぜなら、誰でもできる派遣さんのお仕事と言われる仕事だけをやってきた人間と評価されるからです。新卒は合理的な選択をすれば1年半~2年は捨てて、はれて異動となった業務でキャリアを形成して転職しようと考えるしかないからです。つまり、都合4年は会社のために仕事をさせることができます。ただし、果たしてそれは経済的合理性があるのかということは謎です(優秀な新卒が利益を出す部署に配属されるのは1年半~2年後のため)。

 

自分が手を挙げて参加すればやりたいことができる環境がある、と謳う会社は恐らくそうなのだと思います。僕が入った「大企業」はそうではなく、言われた仕事(トップダウン)を全力でこなすことが評価される会社でした。中途でかなり大きな決裁権限がある役職で入った場合には非常に楽しい会社だと思います。

 

新卒の方へ

新卒は企業にとって生え抜きでビジネスに理解のある人材になるという面と、実際に働かせてみないと利益を生むかわからないという面があり、手放しに大事にできる人材ではありません。様々なビジネスをやっているグループ企業への就職は、組織が手を挙げればやりたいことができます、と言っていない時点で強いトップダウンのため、新卒としてできる範囲は狭くかつ面白味がない可能性が十分にあります。

正直、新卒のときは「自分が何をしたいのか」というは決まっていないでしょう。決まっていたとしても、実務経験がないので誤った職種や業界を志望しているということの方が多いのではないでしょうか。

同期にもいましたが、グループ採用であれば適性をもとに勝手に人事が配属をしてくれて「決めてくれる」と考えて入社を決めている人もいるでしょう。

私は入社当時から今も変わらず思っていますが、新卒というキャリアで選ぶべきは「適性ある仕事を探すこと」ではなく、「成果を残すという経験」だと思います。後から見たときに「そんな面白いことしたんだ!」と言える仕事ができそうな企業を選ぶのが一番です。しかし、やってみないとわかりません(笑)。私の場合は、完全に笑いのタネです。

ただし、社会的信用のために仕事をする人は、知名度のある企業であれば全く問題ないと思うのでこのアドバイスは不要です。

 

自分を成長させる的なキャリア描く人は、なるべくボトムアップで仕事をできる会社がよいと思います。転職サイトなどを見れば、社風がトップダウンボトムアップか判断できるのでそれでよいと思います。新卒の会社は一生の会社になるはずがないので、あまり悩む必要はないです。内定がもらえたのならその会社でとりあえず良いし、本当に行きたかった企業があるならば中途で転職して行くのが一番良いです。視野も転職のときには広くなっているし、新卒で入った企業で成果を残していれば非常に転職はスムーズです。
結論として、新卒のタイミングは転職を視野に入れた上で企業を選ぶのが良いと考えています。

 

おわり