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アニメ『ボールルームへようこそ』の感想~後半ネタバレあり~

アマゾンプライムで見かけて視聴しました。アニメを積極的に見るわけではないけど、レビューが100件以上あって星が4.5以上だとどうしても見たくなってしまう(笑)

 

 

2018/3時点で、アマゾンプライムでは一期(第1話 - 第11話)と二期(第12話 - 第24話)の全編が視聴できるので未視聴の方は、この機会におすすめしたいと思います。

 

 

 

作品について

原作は月刊少年マガジンで連載されている同名マンガで、社交ダンスに打ち込むことになる主人公:富士田多々良くんの成長物語です。中学校3年生から年齢を重ねて成長していくので、まさに青春!という感じです。

アニメは、制作が 高レベルな作画で有名でクオリティの高い状態を維持してくれると定評のあるProduction I.Gさんです。毎度すごい絵や動きだな!と思わせてくれるProduction I.Gさんが、社交ダンスをどのように表現するのかというのが注目ポイントです。

監督は板津匡覧さんで、僕は作画厨のアニメーションらしい部分が大好きなので、『電脳コイル』の人だ!という感じで大興奮でした。アニメは動いてなんぼと思っているので、動きを作ってきた人が監督としてどんな作品を作るのかはワクワクしていました。

 

※これから先ネタバレを含みます!※

 

第一期(第1話 - 第11話)と第二期(第12話 - 第24話)に分けて感想を書きます。

実は、全体としては期待より少し下回るなという感じでした。。

もちろん、レビューの評価の高さも納得の部分もあるので、個人的な好みが大きくかかわっていると思います。100点満点評価で言うと、簡単に80点は超えてくる良い作品なんですが、これはすごく尖っていて評価が分かれてもおすすめしたいとはならなかったです。僕としては秀作だな、という感じです。

でも、第一期は超良かったです!それだけでも見てほしいと思います。

 

第一期(第1話 - 第11話)

そもそもなんですが、主人公の 富士田多々良くんはいわゆる天才です。ど素人から社交ダンスの世界に入るのですが、天性の「目」を持っていて理屈や言葉でダンスを理解するのではなく「感覚」でダンスを急速にものにしていきます。まさに桜木花道タイプです。天才型主人公はみんな大好きです(笑)

第一期はそんな富士田くんが、ダンスを始め、ダンスのバトルを上級者に対して挑むというストーリーでした。ストーリーは圧倒的王道で、まだ基礎も全然できていない主人公がセンスだけで、センスと努力でしっかりと社交ダンスをやってきたライバルに肉薄する理不尽な下克上です。現実では起こってほしくないことですが、フィクションで見るとアツい展開です。

 

疾走感を持って駆け抜ける物語

まず、ストーリーは社交ダンスという世界観で勝負するというのが新鮮で面白かったです。主人公は天才だけど、やっぱり基礎ができてないよねっていう努力がまだ足りていないという絶妙なバランスが良かったです。富士田くんの性格も自信がなくて控えめということもあって、素直に応援したくなる。アニメとしても練習シーンや解説というよりは、「ダンスバトル!」でライバルとダンスを見せつけあう(これが社交ダンス独特)という感じでポンポンと進んでいくので、まさに駆け抜けた第一期でした。

特に第一期の最終話にかけては胸アツです!

 

美しい止め絵の演出がすごい

次に、作画というか、ダンスシーンのアニメーションです。

これは…。期待していたダンスがヌルヌルとキレキレで動くアニメではなく、止め絵(もちろん美しい構図だけど!)だったり、同じ動きのアニメーションが繰り返されるという感じでした。ヌルヌル作画と言われるアニメでも実際には、うまくメリハリをつけているので枚数が多いからすごいという訳ではないと思っていますが(それもすごいけど)、全体を通して「動いてる!」とあまり感じられなかったのは残念でした。

ただ、動いてないとはいっても華やかにダンスを描くシーンは美しくて格好良かったです。演出として線が太くなって構図が動いていくとダンスが立体的に見えて、すごく良かったです。Production I.Gさんだからと言って動くアニメーションに期待しし過ぎだったです。

一応、主人公は中3で、ヒロインたちも中3、中2なんですが色気が大人です(笑)富士田くんとペアを組むことになる赤城真子ちゃんは、中2で明らかに幼いはずなのですが…、そこまで幼く見えず本当美しい女性として表現されていて素晴らしいです。

 

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第一期は、全体として駆け抜けていくダンスは疾走感があってよかったです。第一期だけなら、僕はこの作品は「秀作」ではなくイチ押しの作品の一つに挙げたいくらいです。

第二期がいまいちで、アニメ『ボールルームへようこそ』を全部おすすめできないかなと思っています。

 

第二期(第12話 - 第24話)

高校1年になった富士田くんが、専任のパートナーを見つけていよいよライバル達と本格的に戦うことになります。目指しているライバル達とのバトルはないのですが、その前哨戦で新たなライバル(中ボス?的な)が出現し彼らとの闘いが第二期の話となります。

 

急にテンポが落ちたストーリー

ストーリーなのですが、テンポが一気に悪くなります。新しいパートナーの獲得、師匠からの巣立ち、パートナーとの衝突、ライバル出現…と内容はたくさんあるのですが、もっさりと話が進みます

しかし、一つ一つのエピソードは一瞬で終わります。例えば、最初に富士田くんを導いてくれた小笠原ダンススタジオでは成長できないということで巣立つときに、師匠の仙石さんに別れを告げるシーンがあるのですが、かなりサラッと一瞬で終わってしまいます。ここは何か溜めてほしいところなのに…と不思議な感じになりました。

 

原作の進み方の問題なのかもしれませんが、実はこのもっさり感の原因は、新しくパートナーを組んだ「緋山千夏と富士田くんがダンスで息が合わない問題」が14話から最終話までずっと続くことにつきます。

問題提起の段階で、富士田くんはパートナーに合わせるダンスをしているので、緋山ちゃんからは「リードになっていない」と言われるのです。この時点で、富士田くんが自分のダンスを作って緋山ちゃんをリードすれば解決するやん、となるのですが、なぜか最終話まで問題が解決しません。というか、自分のダンスを見つけるということを悩む描写はほとんどありません。しかも、最終話でも、結局、富士田くんは自分のダンスを見つけることはできず、緋山ちゃんが富士田くんに身を任せる、富士田くんはやっぱり緋山ちゃんを活かすダンスをするということで、何とか中ボスなライバルを破ることになります。

富士田くんがグングン成長していく姿を見たい、というか第一期でそれを見てきたので、第二期でも新しいパートナーとぶつかる中でグングン成長があるのかと思いきや、まさかの停滞をします。この富士田くんの停滞は、カタルシスが山の向こうに飛んで行った感すらあります

 

ダンスバトルは精神バトルへ

第一期と第二期で大きくダンスバトルも変わります。第一期は富士田くんは初心者らしく自分の踊りの技術的なところを集中しながらライバルとのバトルがあります。一方、第二期では完全に精神バトルとなります。足が4本になる感覚、ライバル目線だとペアが光って見えたり、踊っていると精神世界でドアを開け始めます。
料理マンガも如何に派手な味コメントするか(させるか)みたいな勝負になっていくので、精神バトルもそれはそれで味があると思います。しかし、まだ技術的に十分に成長できる余地がある(自分のダンスを見つけるetc.)のに、精神バトルしているので、なんで?という感じでした。

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踊っていたらパートナーが急にみぞおちから湧いてきます

というか、第二期では技術的には宿敵ライバルと同レベル(Aクラス)という感じになっていて、「ダンスは何年やったかじゃない、センスだ」みたいな話もあり、え?え?という感じでした。社交ダンスが、実際そうならしょうがないです。天才にやさしい世界です。

 

第二期の終盤は、粗削りの進化系ダンスを踊る主人公たちvs 精錬された伝統ダンスを踊るライバルという対立なのですが、何が進化系で伝統なのか全くわかりません。たぶんそうだと思うけど、それはどこがそうなるの?みたいなのは絵的にはわかりませんし、言葉でも説明はされません。細かいことかもしれないですが、それ何!?という叫びがぐるぐるしてかなり消化不良でした。

 

作画は第一期はゴン太な線で人物が描かれていたように思いますが、第二期ではシャープな線になります。第二期は精神バトルになりますが、第一期よりダンスが動く(ダンスを踊る作画枚数が多い)ようになります。しかし、第一期の方がダンスシーンに強さがあったように感じてしまい、不思議な感覚になりました。第二期では作画崩壊とは言いませんが、あれ?と思うところが出てきます。

 

まとめ

第一期は申し分なく面白いのですが、第二期がいまいちという感想です。

まずは第一期を見て面白ければ、第二期まで見てほしいです。ただ、第一期だけ見たら続きは原作でというのを一番のおすすめにするかもしれません。第二期まで制作するとなると大変なのだと思いますが、あえて1クールで「もっと見たい!」と思わせるところで作品を突き抜けさせてほしかったです。

僕が短く太い物語が好みというのもありますが…。

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「あんたが分からないから無理!」

↑別れ話で一度は言われたことありますよね、これ。言った方もかとは思いますが、言われた富士田くんは超辛い。
以上、アニメ『ボールルームへようこそ』の感想でした。

 

おわり